車椅子、ときどき杖。

外出には車椅子を使っています。ときどき杖も使います。車椅子で訪れたスポットや、普通に歩いていた頃には気づかなかったいろいろや、便利だと思う道具について。

日本最大級の、ふくろうカフェ。

以前から前を通っていて気になっていた「ふくろうカフェならまち」に行ってきました。近鉄奈良駅から徒歩5分、もちいどのセンター街にあります。

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ここは、ふくろうカフェとしては日本最大級の屋内スペース(50坪)があり、カフェというよりはミニ動物園といった雰囲気です。

入口のドアは友人に開けてもらいましたが、段差なくフラットに入れます。

1時間1000円の入園料(本来は1300円だそうですが、ホームページによると「当分の間はオープン記念価格」でお安くなっています)に含まれるドリンク1本は、屋内の自動販売機で購入します。

入園料を支払い、スタッフさんに説明を聞いて、視線を転じると。

ずらり居並ぶふくろうたちが、私たちを迎えてくれました。

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壁に飾られているのは、ふくろうのアート作品です。

 

ここにいるふくろうたちは全て人工孵化で、まだ若い子が多いとのこと。

ふれあいが大丈夫なふくろうは、ミトンをはめた手にとまらせてもらえます。

頭や背中にそっと触れると、種類によって羽根の感触ややわらかさが違うのだと解りました(さわれる子とそうでない子がいます。スタッフさんに聞いたり、説明書きをよく確認しましょう)。

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奥の「フライトルーム」では、土日祝日に鷹(ハリスホーク)の嵐ちゃんのフライト体験ができます。私たちが訪れたのは土曜日の午前中だったので、体験させてもらいました。

鷹が車いすの車輪を嫌がるかも知れないと事前に聞いていたので、もし嫌がりそうならやめておくつもりでゆっくり部屋に入ると、スタッフさんの腕にとまり落ち着いた様子で迎えてくれました。

これなら大丈夫でしょう、とスタッフさんにお墨付きをいただき、鷹に背を向けてグローブをはめ、園長さん(店長ではなく園長なのです)に腕を支えてもらって肩の位置で伸ばします。

車椅子だと腕の位置が低いので、鷹にとってはとまりにくい様子でした。スタッフさんの腕から飛び立っても、私の腕には降りずに部屋の中を旋回します。

スタッフさんが私に60cmほどの距離まで近づくと、ふわりと飛び移ってくれました。

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ずっしり重いのですね!

支えてもらっていなければ、私の力では耐えられなかったと思います。

園長さん、ありがとうございました。

革のグローブを掴む爪は鋭いですが、私の方を見る瞳がくりくりしていて、なんてかわいいんだろうかと思いました。

雛から育てたスタッフさんにとても懐いていて、園長さん曰く「私もさわれないんですよ、さわれるのは彼だけなんです」とのこと。スタッフさんの腕に戻りその顔を見つめる嵐ちゃんはとても愛らしかったです。

 

平日のフライトルームでは、ワシミミズクの放飼いが公開されることも。いずれも鳥たちの体調により中止することがあります。詳細はホームページやブログでご確認ください。

 

ふくろうカフェならまち|餅飯殿町 癒し 奈良町 フライト体験 鷹(公式ホームページ)

ブログ|ふくろうカフェならまち(公式ブログ)

YouTubeでは、水浴びするふくろうや飛翔するふくろう・鷹の映像が見られます。

ならまちふくろうカフェ - YouTube

薬膳鍋で、ぽかぽかに。【2018.03.11 追記あり】

【2018.03.11 追記】

「薬Zen拓」さんは、もちいどのセンター街の北側から入ってすぐ右手に移転されました。店舗が広くなり、車椅子でも入りやすそうなので、近いうちに尋ねたいところです。

薬Zen拓(公式ホームページ)

食べログは下記リンク先が最新です

 

(追記ここまで)

 

 

近鉄奈良駅から徒歩6分。

もちいどのセンター街の「夢CUBE」にある、「薬Zen拓」へランチに行ってきました。

日本料理☆薬zen拓☆(公式ホームページ)

食べログはこちら

 

この日はとても寒かったので、友人と2人で「薬箱の美肌鍋ランチ」を注文しました。

まず運ばれてきたのが、おばんざい小鉢。

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だしまき玉子と菜の花のおひたしがとてもやさしい味で、頬がゆるみます。

対して、切り干し大根のごま和え。ゴマ油の香ばしさが口内に広がって、しっかりした味付けです。おいしい!

このあとかす汁とご飯が運ばれてきて、いよいよ美肌鍋。

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小引き出しの薬箱に入れられた、小鉢の生薬6種をすべて鍋に投入します。大きな引き出しの唐辛子はお好みで。野菜は奈良県産で、なんとおかわり自由。といっても、私たちはお腹いっぱいでおかわりできませんでしたけれども。

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くつくつ煮込んで、やわらかくなった野菜をいただきます。

ポン酢なども用意されてはいましたが、この薬膳スープだけで充分に滋養たっぷりの味わいです。しみじみと、野菜がおいしい。菊菜が、白ねぎが、しいたけがおいしい!

煮込まれたクコの実や松の実が、とてもいいアクセントになっています。

そして、ぷりっぷりの海老団子! 海老そのものを食べるよりもより一層ぷりっとしていて、素材の引き立て方に感動しました。

私たちは白ご飯を選びましたが、他にも選択できます。

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メニューの写真が光ってしまってごめんなさい。

 

ランチメニューはほかにも、

・鶏の竜田揚げ食べ比べランチ(1000円)

・低糖質薬膳ランチ(1000円)

・低糖質唐辛子スープランチ(1000円)

・低糖質広島風お好み焼き(1000円)

などなど、気になるメニューがたくさんありました。(いずれも税込み価格。メニューは変更になる可能性があります)

またぜひ行きたいお店です。

 

夢CUBEはこぢんまりしたお店が並んでいて、通路も少し狭めなので、車椅子での通行には注意が必要です。

お店の入口に段差が少しあるので、友人に押してもらって入店しました(出る時は自力で下りられます)。入ってすぐのテーブルをお店の方が奥にずらして、車椅子で入れるようにしてくださいました。

車椅子のままつけるテーブルは限られているので、事前に車椅子であることを伝えたうえで予約をお勧めします。

 

 

片手で使える、文房具。

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体幹の筋力が弱い私は座っているとき左手で身体を支えるので、右手だけで使える道具というのはとても便利です。

ふだん何気なく両手で使っている文房具の中にも、片手で使えるものがいくつかあります。

 

ふせんディスペンサー

ふせんを使うとき、片手で束を持ってもう一方の手で1枚めくりますよね。

なんと片手でサッと使える商品が、3Mから発売されています。

ポストイット強粘着商品「ポップアップノート ディスペンサー付き」は、ティッシュケースのようにふせんを取り出せる商品です。

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ディスペンサーはどっしりと重みがあって、1枚取り出すときもびくともしません。

机の上にこの大きさのものを置くスペースがない(私もそうです)人向けに、デスクなどに貼り付ける縦型タイプもあります。すばらしい。私はこちらを机の引き出しに付けています。

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この位置に貼ると付属のペン差しは使えないですが、定位置にふせんがあることで「メモしたいときにメモ用紙がない」という事態がなくなってとても安心です。

このふせんは強粘着なので、多少凹凸のあるクロスの壁にもしっかり付いてくれます。

 

3M|強粘着製品 ポップアップノート|ポスト・イット® 製品|文具・オフィス用製品|製品とサービス(公式ホームページ)

 

ノック式油性マーカー・蛍光ペン

一般的に油性マーカーや蛍光ペンにはキャップがついていますが、ノック式の商品も発売されています。片手でサッと使えるというのはかなり便利ですよ。

私が購入したのは、ぺんてるの「ノック式ハンディ Pentel PEN」。

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指でなくても、ノック部分を机などに押し付けてペン先が出せるのもいいですね。

私が購入したときメーカーの方がいらしたのですが、「屋外でも太ももに押し付けたり、壁に当ててもペン先が出せます!」と熱くおススメされました。

ぺんてるからはノック式蛍光ペン「ノック式ハンディラインS」も発売されています。

 

ノック式ハンディ Pentel PEN/カートリッジ|商品紹介|ぺんてる株式会社

ノック式ハンディラインS/セット/カートリッジ|商品紹介|ぺんてる株式会社

(いずれもメーカー公式ホームページ)

 

くしがついてる、眉はさみ。

眉カット。

苦手な方も多いと思うのですが、表情を美しく見せるためにはとてもだいじな作業です。

そして、眉毛の長さを切りそろえるのも重要なことです。

 

一般的には、片手でくしを眉にすくい入れ、もう一方の手で毛先をカットすると思うのですが、私は左手で身体を支えているため、右手だけでくしをあてずにカットして「あっ短い!」「なくなった!」となることが多々ありました。

 

なので、生協の宅配カタログでこの商品を見つけて、飛びついてしまいました。

貝印の、クシ付マユハサミ(2WAY)です。

Q.E.C クシ付マユハサミ(2WAY)_KQ0967 | 貝印公式オンラインストア

 

なんと、片手で眉を整えられるのです。

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小さなくしを装着して、はさみを開いてくしを眉にすくい入れ、そのままはさみをとじれば、毛先を片手でカットできます。

また、このくしは斜めになっているので、付け替えることで左右の眉の流れに合わせることができ、はさみの位置を調整しなくて済みます。

 

そして、もうひとつ利点があります。

 

はさみの柄が長く、指を入れる部分が刃先から離れているので、眼鏡をかけたまま眉カットができるのです。

 

私は強い近視ですので、裸眼では鏡に10cmくらいまで近づかないと顔が見えません。でもそこまで近づくとはさみを持つ手が鏡に当たってしまいます。かといって眼鏡をかけたままだとフレームに手が当たるので、眼鏡を下げて上目づかいに見ながらカットしていました。

この眉はさみだと、眼鏡をかけたままでも問題なくカットできるので、もう手放せません。

 

ただ、毛先をカットするのにはとても便利ですが、根元からカットするのには刃先が反ったタイプのはさみの方が私は使いやすいと感じました。刃先を皮膚に突き刺しそうになるんですよね、不器用なもので…。ということで、使い分けています。

「銀座が好き」には、理由がある。

私は「銀座」という街が好きです。

かつての私にとってその街は、遠く手の届かないところにある憧れであり、テレビの街頭インタビューに映る世界であり、着飾ったご婦人の闊歩する街でした。

東京に住むようになって、一気に銀座は近しい街となりました。

好きな店があって、週末の会社帰りに足を伸ばせる街。休日にふらりと訪れる街。転居して門前仲町に住むようになると、自宅から自転車で行ける街になりました。

その頃から、私にとって銀座は「東京で好きな街」のベスト3に入る場所となったのです。

でも、その当時の私は、それが「なぜ」なのかはっきりと理解していた訳ではありませんでした。ただ何となく、行きやすい街だと思っていたのです。

 

車椅子を使い始めて、家人の介助で初めて自宅から地下鉄で銀座へ行ったとき、その第一印象は「車椅子では行きにくい」でした。

乗り換え駅にエレベーターがなく、階段に設置された昇降機を使うために駅員さんを待たねばならなかったり、銀座駅から車椅子で地上へ上がるエレベーターの場所がとても限られていて、歩行時と同じようにはルートが組めなかったからです。

 

3年前から私は奈良に住んでいて、年に1度は東京へ遊びに行きます。昨年からは、簡易型電動車椅子でひとりで上京するようになりました。

車椅子ひとりで銀座の街を行き来するようになって、初めて気が付いたのです。

銀座中央通りが、いかに通行しやすい歩道なのか。

 

この写真は、銀座中央通りの歩道から交差点へ下りるところです。

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お解りいただけるでしょうか。

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歩道と車道の境目に、段差がほぼない状態です。

(↑この写真は上記と同じ場所ではありませんが、同じ銀座中央通りです)

 

一般的な歩道ですと、境目はやや斜めにカットされていることが多いです。そして、どうしても道路との境目に段差ができます。

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こんな風に処理してある歩道が一般的ですよね。

歩道と車道の段差があればあるほど、車道へ下りる場所でスロープ状にする必要があり、境目を完全にフラットにするにはそのスロープが急勾配になってしまいます。おそらく水はけの観点からも、フラットにしにくいのでしょうね。

 

さて、銀座中央通りの歩道は、決して車道との段差が低い訳ではありません。

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実はこれくらいの段差がしっかりあるのです。

なのに、先ほどの交差点への下り口では、急勾配ではありませんでしたよね。

 

そうなのです。

銀座中央通りの歩道では、「車道へ下りる度に勾配を下りたり上がったりする」ことがほとんどありません。これはきっと、大きなスーツケースやキャリーバッグを転がしながら歩いたことのある人も、思い当たることと思います。

そう。

スムーズなのです。これほどの段差を下りたり上がったりしているはずなのに。

 

その理由は。

冒頭の銀座の歩道を、もう少し手前から見ると解ります。

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お解りいただけるでしょうか。

そうなのです。かなり手前から、勾配が緩やかに始まっているのです。

通行するときに、下ったり上ったりしている感覚がない程度に。

また、車椅子で通行すると、石畳やタイル敷きの隙間を敏感に振動として感じ取るのですが、この歩道はまるでつるりとした床の上を行くようで、ほぼ振動を感じないのです。

 

これは、広い歩道が設置できて、整備にかかる費用が十分に賄える街だからこそなせる業なのかも知れません。

けれども、確かに、この歩道は通行しやすいのです。車椅子にも、おそらくベビーカーにも、そしてスーツケースやキャリーバッグにも。

 

もちろん、地下から地上への移動で迷ったり、脇道の歩道では通行に注意すべき路面だったりすることもあるのですが。

好きな理由がはっきりして、とてもスッキリした私なのでした。

 

 

ちなみに、銀座中央通り以外でも、歩道と車道との境目に段差がない場所がありました。

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こちらは東京の浅草橋で見かけた歩道です。緩やかに斜めになっていますが、滑り止めのラインが入っているので、杖をここについてしまっても滑らず安心です。