車椅子、ときどき杖。

外出には車椅子を使っています。ときどき杖も使います。車椅子で訪れたスポットや、普通に歩いていた頃には気づかなかったいろいろや、便利だと思う道具について。

奈良散策のお供に、奈良おでかけ安心サポートマップ。

昨年2月から、産経新聞奈良版で「車いすでみるなら」というコラムを月2回程の頻度で連載しています。主に奈良のあちこちへ車椅子で出向いて楽しめたことを書いています。

出かける時にとても便利なのが、「奈良県観光バリアフリーマップ」でした。多目的トイレの場所、道路の傾斜や歩道の有無、観光施設の段差やスロープの場所、ホテルのバリアフリー情報などが記されています。

昨年春に、改訂版「奈良おでかけ安心サポートマップ」が発行されました。私がそれを手にしたのはつい先日なのですが、随分と情報量が増え、ページも多くなっていました。

観光案内所などで貰えるほか、奈良県ホームページでデジタルブックとして公開されています。

参考:奈良 おでかけ安心サポートマップ

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「奈良おでかけ安心サポートマップ」(中央)と、旧版の「奈良県観光バリアフリーマップ」(右)。奈良町の散策には、「奈良町おさんぽガイドMAP2016」(左)を併用して活用しています。

 

先日、機会を頂いて、どのようにしてこのマップが作られたのか、奈良県観光局観光プロモーション課プロモーション推進係の松田さんと髙橋さんにお話を伺うことができました。

初版の「奈良県観光バリアフリーマップ」は、障害者を臨時的に雇用して現地調査をし、約1年をかけて作成したそうです。

改訂版「奈良おでかけ安心サポートマップ」の作成には旧版のデータをもとに、高齢者や子育て世代、障害者にヒアリングをして要望を聞き、観光施設約450箇所からアンケート回答を得て、車椅子や疑似装具の体験で研修を受けた委託業者が調査ポイント約2500箇所を現地調査。掲載する地図の範囲を、しらみつぶしに調査されたそうです。すばらしい。

改訂版に追加された情報は、施設のFAX番号とQRコード(施設のホームページURLなど)。聴覚障害者にとって非常に有用とのことでした。また、施設の写真も増えていて、スロープやトイレの様子がよく判ります。

お話を伺って印象に残ったのは、「ヒアリングの中で視覚障害者が最も不自由度合いが高いと感じた」という言葉でした。まず、バリアフリー情報をどう伝えるかという課題もあります。マップには旧版からSPコードが掲載されていますが、改訂版にも継続されています。

参考:SPコード公式ホームページ sp-code.com

 

私は車椅子を使用するようになってから、外出するのに「トイレ」と「段差」と「エレベーター」をとても気にするようになりました。ひとりで電動車椅子で出かけるようになってからは特にです。

出向く先の情報を事前に知ることができて、不安を解消できたら、きっと外出が楽しみになると思います。ともすれば出不精になりがちですが、このマップをご覧になった多くの方に、奈良を楽しんでもらいたいなと思いました。

 

今回お話を伺ったのはもちろん奈良県庁でした。

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奈良県庁前の通路は、道路への段差を完全になくす勢いでスロープ状になっています。車椅子で通行していてもとても滑らかでストレスがなく、感動しました。私は電動ですが、この傾斜角度であれば手動でもかなり楽なのではないでしょうか。