車椅子、ときどき杖。

外出には車椅子を使っています。ときどき杖も使います。車椅子で訪れたスポットや、普通に歩いていた頃には気づかなかったいろいろや、便利だと思う道具について。

車椅子で巡る、古都祝奈良。【2016.09.25 追記あり】

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ただいま奈良市内では、「東アジア文化都市2016奈良市」の一環として「古都祝奈良 時空を超えたアートの祭典」が開催されています。車椅子で行ける会場をいくつか回ってきました。

culturecity-nara.com

 

東大寺「“船をつくる”プロジェクト」

東大寺鏡池に浮かぶのは、蔡國強作「“船をつくる”プロジェクト」。

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かつて東シナ海を航行した中国伝統の木製帆船で、中国人船大工10人により約3週間かけ公開制作されました。

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鏡池の水面に、文字通り鏡に映るような帆船の影がとてもきれいです。

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池の南側から望むと大仏殿も。陽の傾きで印象が変わります。友人によると、朝もおすすめとのこと。

境内の石畳は中央が平坦になっているので、車椅子でも通りやすいですよ。ただし、鹿たちがたむろしていて進めない時は、両脇のちょっとデコボコした石畳を通らねばなりません…。

 

北風呂町の倉庫「雫―story of the droplets」

ならまち大通りから少し入ったところにある北風呂町の倉庫では、宮永愛子作「雫―story of the droplets」が展示されています。

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この倉庫は、昭和30年頃まで使われていた染物屋の倉庫だそうです。

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未開封で残されていた古いガラス瓶や、木箱、引き車などの道具が当時の姿を再現するかのように置かれています。

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天井に張られたさらし。地面に置かれた道具の真上だけ、それらの形が白く抜けています。地面に染み込んだかつての染料を、そのまま写し取ったかのようです。


この倉庫へ行くとき、ならまち大通りを東側から向かうと、途中の歩道に傾きが激しい箇所があります。

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上記写真の左側から上がりましたが、歩道がうねっているうえに左右の傾斜があり、簡易型電動車椅子の前輪が片方浮き上がってしまい、制御するのに苦労しました。

この歩道を下りるとき(逆向き)はこんな感じです。

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右方向へ下りましたが、車道に飛び出さないよう慎重にゆっくりと進みました。

西側のやすらぎの道から向かう方が安心かもしれません。ちなみに、やすらぎの道からのルートはこんな感じです。

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やすらぎの道を南へ進む歩道。歩道の凹凸がそこそこあるので、注意して走行します。

馬場町の交差点で左折します。

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西側から向かうと上り坂です。

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倉庫への道を左折するところの歩道がちょっと急です。

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路地突き当りの左手が会場です。

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公納堂町の路地奥「人間の家」

西尾美也作「人間の家」は、地域住民が持ち寄った古着を使った作品です。

台風16号の影響により作品が破損したとのことで、9月20日にいったん撤去されています。以下の写真はいずれも展示中のものです。

台風16号の影響により作品が破損したとのことで、9月20日にいったん撤去されていましたが、修復作業が終わり、26日に再展示作業が予定されています。

会場は、長屋の並ぶ路地の奥にあります。

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見えてますね、カラフルなでかいものが。

通路に敷かれたブロックの隙間に気を付けて進みます。

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路地の突き当りに、この存在感たるや。

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屈んで入る入口。スタッフの方に布を持ち上げてもらって、車椅子のまま入れました。

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ステンドグラスのようなパッチワークは、住民や通りすがりに立ち寄った人たちがボランティアで参加して公開制作されたものです。会場であるこの路地奥で裁断し、ミシン掛けしたとのこと!

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この路地奥には古くから残る倉庫が建っているのですが、それと同じ大きさに作られているそうです。

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風が吹く度にパッチワークの壁が大きく揺れ、まるで「家」が生きているかのようです。この中で、ずっと過ごしていたくなりました。

中には椅子とテーブルが置いてあり、ゆっくり過ごすこともできます。

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帰りに出口から外を覗くと、ちょっと不思議な感じでした。

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※「人間の家」は台風16号で破損したため、9月26日から会場でワークショップによる公開修繕が行われます。制作した時と同様に、ボランティアを募集予定とのこと。ホームページをご確認ください。現地でも受け付けてもらえるそうです。完成次第、再展示される予定です。

【9月23日追記】「人間の家」は台風16号で破損したため、現在は修復作業が行われているそうです。当初はワークショップを予定されていましたが、26日以降に修繕された作品の吊り上げ作業が予定されています。

【9月25日追記】事務局によりますと、作家による修復作業が完了し、26日(月)午前9時~10時頃より作品の吊り上げ作業が予定されているとのことです。当日中に作業を終え、27日から通常通り展示の予定です。

参考:東アジア文化都市2016奈良市 -「古都祝奈良(ことほぐなら)-時空を超えたアートの祭典」

 

鎮宅霊符神社「ボタン/雨」

鎮宅霊符神社では、「人間の家」制作のために集められた古着から取ったボタンを利用した作品「ボタン/雨」が展示されています。こちらも西尾美也作。

階段があるため中へ入ることはできませんが、門の外からでもきらきらと陽の光にきらめくボタンの雨を眺めることができます。

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左側に見えるのが、吊り下げられた数々のボタン。写真では伝わりにくいと思いますが、風にゆらめく度に光を反射していました。周囲はとても静かで、非現実的な情景に見えます。思わず見とれてしまいました。

 

ならまちセンター芝生広場「ポップアップレストラン」

ならまちセンター芝生広場では、9月25日まで「ポップアップレストラン」がオープンしています。広場に「ゲル」が建っていて、ここで料理が作られます。

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ふかふかする芝生の上に並べられた長椅子で、軽食がいただけます。

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「大和ポークリブの香味焼き」(写真手前)は、スパイスでしっかりと漬けこまれた豚肉に、クミン・山椒・コリアンダー・にんにく・新生姜・唐辛子の種・ゴマがたっぷり! ひと皿2切れなのを友人と分けましたが、1切れでもかなりの食べごたえでした。

「大和当帰のさつま揚げ串焼き」は、吉野郡を中心に栽培されている漢方の薬草「大和当帰」が練りこまれたさつま揚げを串焼きにしたもの。何とも不思議な味わいが癖になりそうでした。こちらもひと皿2本です。

飲み物はビールやモンゴルサワーなどお酒のほかに、「月ヶ瀬健康茶園の秋番茶」があったのでそれを頼みました。ほんのりと感じる苦みが口内をさっぱりさせてくれます。

 

芸術の秋と食の秋、どちらも楽しみたいですね。