少し前に友人と、バーの雰囲気に憧れるという話をしていて。
「バーって階段の先にあるものだよね」
という話になりました。
…確かに。
小さなビルの細い階段の先に、ひっそりと客を迎える渋いドアとか。
1階にあっても、店先に数段の階段があったりとか。
その階段が、日常との境目みたいなものだったりするのかも知れませんね。
車椅子で階段の先へ進むのは難しいので、バーに行くのは少々厳しいかなと思っていたのですが。
その友人が、「奈良ホテルとホテルフジタにバーがあるよ」と教えてくれたのでした。ホテルなら車椅子で入れる可能性が高い! と思って、さっそく電話しました。
バリアフリー問題もそうですが、私は簡易型電動車椅子を使っているため外出時の飲酒を控えています。電動車椅子は道路交通法上「歩行者」なので、お酒を飲んだとしても「飲酒運転」にはならないのですが、レバーを操作するうえで飲酒による判断能力の低下は命取りです。現に、電動車椅子の取扱説明書などにも「お酒を飲んだら乗らないこと」と明記されています。
つまり、バーには行きたいけどもお酒は飲めない訳です。
ということで、ホテルに電話した際には、車椅子で入店できるかどうかに加えて「ノンアルコールカクテルは提供されていますか」と聞いてみました。
いずれのホテルも、車椅子で問題なく入店できて、ノンアルコールカクテルもお作りしますよ、とのご返答でした。すばらしい。
お酒の飲めるその友人と一緒に、行ってきました。
奈良ホテル「ザ・バー」
奈良ホテルの本館1階にあるラウンジは、日中はティーラウンジとして営業し、18時からはバー「ザ・バー」に変わります。
バーカウンターのある部屋は明るく、カウンター席の椅子は座面が高いですが肘掛けがあります。テーブル席はテーブルが低めなので、車椅子から移って座るのもいいですね。
私たちは夕方からティーラウンジを利用(リンク先は当ブログ)して、そのままバータイムを楽しむことにしました。
窓際の席が空いたので移動させてもらって、せっかくなので車椅子からふかふかの椅子へ移ってみたくなりました。お店の方に聞いてみると、車椅子を置けるスペースがあるとのことだったので、お願いしました。
店の椅子に腰かけるのは久しぶりでしたけれども、いいですね。
低めのテーブルにちょうどいい感じで肘を置くことができて、身体を支えて座れました。いつもの車椅子の座面を感じず、さらに車椅子が視界に入らないことで、非日常感がぐんと増します。
窓は広く、ライトアップされた庭の木が幻想的に見えます。
私が頼んだのは、いちごのノンアルコールカクテル。
これがあなた、ノンアルコールなのにカクテル感にあふれているのです。
いちごの酸味をしっかりと感じるし、ふわりとした口当たりの奥から時間差で炭酸の刺激がやってくるのです。ジュースのようにごくごく飲むのではなく、少しずつ含んで楽しむ味でした。
いやはや、大満足でございました。
窓際の席からバーカウンターのある内部屋を見遣ると、こんな感じです。
とてもすてきな空間でした。
帰りは来る時にも乗ったタクシーを呼びました。奈良ホテル敷地内の坂道や周辺の歩道は、車椅子で通行するのには少し危険です。特に夜は、車で通行するのが安心だと思います。
参考:バー「ザ・バー」| 奈良ホテル | 公式サイト Nara Hotel Official Site
奈良ホテル | 公式サイト Nara Hotel Official Site
ホテルフジタ「オールドタイム」
三条通りにあるホテルフジタは、近鉄奈良駅やJR奈良駅から車椅子でも行きやすいですよ。
ホテル1階を進んで左手に、バー「オールドタイム」があります。19時オープン。
店内はゆったりしているので、車椅子でも移動しやすいと感じました。
こちらのバーはカウンターがテーブルと同じくらいの高さなので、椅子をどけて頂いて、車椅子のままでカウンター席につかせてもらいました。
いやはや、カウンター席ってバーの醍醐味じゃないですかね?
興奮しながらメニューのノンアルコールカクテルのページを見ていると、なかなか決めることができません。女性バーテンダーさんがどんな味が好みか尋ねてくださったので、「甘めのを」とお願いしてみました。
シャカシャカとシェイカーを振って、グラスに注がれた少しとろりとしたカクテルは、オレンジとピーチのノンアルコールカクテル。口に含むと、ピーチの甘さにオレンジのつぶつぶ果肉がほのかな酸味を加えます。うん、おいしい。
他のお客さんもいらしたのですが、バーテンダーさんと少しおしゃべりできました。奈良のホテルでバーがあるのは、ここと奈良ホテルだけとのことでした。
参考:バー オールドタイム | ホテルフジタ奈良【公式サイト】-ビジネスや観光の拠点に便利な奈良のホテル-
ホテルフジタ奈良【公式サイト】-ビジネスや観光の拠点に便利な奈良のホテル-
ホテルのバーは、友人曰く「一般的なバーよりも少しお高め」とのことでしたが、この雰囲気を味わえるならたまには贅沢してみてもいいかな、と思いました。