4月にインテックス大阪で開催された「バリアフリー2017」展へ行ってきました。
参考:バリアフリー2017/慢性期医療展2017/看護未来展2017
そして、そこで、噂の電動車椅子に試乗してきました!
まずは、2015年のグッドデザイン大賞を受賞した「WHILL」。
試乗したのは「WHILL Model A」です。
まずは公式サイトで動画をご覧ください。スタイリッシュなこの外見!
私は初めてこのWHILLの動画をインターネットで見たとき、「SF映画に出てくる乗り物っぽい!」と驚きました。このフォルム、未来感がありませんか?
でも、同時に、ちょっと思ってしまったんです。
操作性はどうなんだろうか、って。
凄くシンプルな造りに見えるのですが、かっこいいだけでは困りますものね。
そして今回、初めて試乗してみて。
新たな驚きがありました。
マウス型の操作レバー、めちゃめちゃ使いやすい!
私は今、簡易型電動車椅子を使用しています。操作はジョイスティック。スティックの根元を軽く握るように持ち、前に倒して前進します。
WHILLのマウス型だと、掌をのせて軽く操作できるのです。これがとても直感的で、扱いやすいと感じました(長時間操作した訳ではないので、疲労感については未知数です)。
掌でも、指先や指の根元でも、操作の細やかさによって使う場所を変えられそうかも、という印象もあります。それはきっと、長時間の操作においてかなり負担軽減になる気がします。
電動車椅子をふだん使わない人にはイメージしにくいかも知れませんが、前進するためには操作レバーを常に「前進」の位置でキープする必要があります。
ジョイスティックなら、前へ倒し続けるということです。
普通に筋力のある人には笑われてしまいそうですが、「手の筋力が弱い」私は、この「常にレバーを同じ方向にキープする」ただそれだけのことでも疲労します。
マウス型であれば、キープする「手の形」をいろいろと調整できそうだなと感じたので、負担軽減につながりそうな気がしました。
左手側には、速度調節や起動スイッチが一体となったレバーがあります。
一般的な電動車椅子の操作スイッチ関連は利き手側に集約してあることが多いですが、このように分けてあることでシンプルな外見の要因となっているのでしょう。
ごちゃごちゃしませんものね。
ただ、私の場合は左手指の動きが右手より弱いので、起動スイッチを入れるのにちょっと手間取りました。また、移動中に最高速度を変えたいときも、恐らく少し時間がかかるように思います(速度はマウス型レバーの操作で調整するでしょうから、普段は使わないかも知れませんが)。
座面は前へスライドさせることができ、ベッド等への移乗や、テーブルで食事するときに身体を前へ寄せることが可能です。
後ろ側、スライドさせた場合と通常時でこれだけの差が見えます。
WHILL Model Aは四輪駆動です。
なんと7.5cmの段差を難なくクリアします。これはかなりすごいことです、おそらく歩道へ上がる段差のほとんどはクリアできると思います。もちろん、上り口をスロープにしていない古い歩道は無理ですが、スロープになっていても簡易型電動車椅子では上がれない(道路との境目が微妙に高くなっている)ことはよくあるのです。それらはきっとこのWHILL Model Aの前ではまったく問題にならないでしょう。
そして砂利敷きの上もほとんど速度を落とさずに進めました。こちらもすごいことなんですよ、簡易型電動車椅子だと(車輪が細いこともありますが)馬力が足りないので、砂利に沈んで砂利をかんでものすごく速度が落ち、バッテリーを激しく消耗します。
前輪はキャスターではなく固定されていて、動画で見ていたときは「どうやって曲がるの?」と不思議だったのですが、独自開発の「全方位タイヤ」を採用していました。24個の小さなタイヤで構成されていて、方向を変える時は地面に設置した部分が横回転するのです。すごい。キャスターの場合は前輪の向きを想定して旋回しますが(左旋回した直後に右旋回しようとするとキャスターの向きが逆になるので、やや前後の移動を加えたりします)、これだととてもスムーズに動かせます。
この4月に発売された「WHILL Model C」は、Model Aよりかなり軽量化されていて、本体価格も半額以下。しかも3分割できて、セダンタイプの乗用車に積み込めるというのです。電動車椅子をセダン車のトランクに入れる、というのはまず不可能なので、これはかなり画期的なことです。折り畳める車椅子の簡易型電動でも、電動ユニットを横倒しで積むのは推奨されないため、私は自家用車(セダン)移動の場合は手動車椅子を使用しています。
こちらは展示のみでした。二輪駆動とのことで、ぜひ次の機会には操作感の違いを体験してみたいなと思いました。クリア可能な段差は5cmとのこと。この高さも、スロープになっている歩道の段差ならほぼ問題なく上れると思います。
座面の下がすこんと空いていますが、ここにはなんと標準装備で20L容量のかごを設置できます。買い物した荷物も入れ放題。詳細は公式サイトにて確認できます。
ただ、少し気がかりなこともあります。
町なかには、7.5cmや5cm以上の段差が意外に散在しています。例えば路面店の入り口前に10cmほどの段差があるのはよくあることだからです。
「簡易型電動車椅子」であれば、手動車椅子と形は変わらないので、いざとなれば介助してもらうことが可能です。背もたれには介助者用のグリップがありますし、車椅子の後方下部に突き出た転倒防止バー(兼ステッピングバー)を踏んでもらえれば、前輪が上がります。手動車椅子と同様に、段差をクリアできます。
しかし、WHILLに限らず「電動車椅子」は介助されるような設計にはなっておらず、そもそも重量があるので、越えられない段差があっても押してもらうことは困難です。
とはいえ、乗ってみた感動が薄れる訳ではありません。それに、そもそもひとり行動するのであれば、手を借りないと上がれない段差は避けて、入れる店を探します。そういう意味では、馬力があって歩道の段差をクリアできるWHILLに軍配が上がります。
そして何よりもこの外見は、お出かけしたくなるような乗り物。
外出に必須な車いすが「かわいい」「かっこいい」というだけで、モチベーションが上がります。
参考:Home - WHILL パーソナルモビリティ 次世代型電動車椅子(公式サイトトップページ)
もうひとつ、「アビリティーズ・ケアネット株式会社」のブースで、未来を感じるめちゃくちゃかっこいい電動車椅子に試乗しました。
キャタピラで階段昇降ができる車椅子、「B-Freeレンジャー」です!
左手側にあるパネルには、この車椅子のいろいろな形態がアイコンで表示されています。階段を上るときはその形態のアイコンにタッチ。するとキャタピラや座面の下が変形するのです。ゆっくりと階段を後ろ向きに上っていくのはとても感動しました。
通常走行時は、写真の前輪キャタピラの前に突き出た部分が上向きになるよう90度回転し、コンパクトになります。
参考出展のこちらは、香港にある会社が製作したもの。まだ日本で認可されるにはいろいろと調整が必要とのことでした。
階段昇降するキャタピラ車椅子の存在は見聞きしていましたが、日常のシーンで使うのに問題ないサイズというのは難しいだろうと思っていました。なので、初めてこの車椅子の動画をインターネットで見たときは本当に驚きました。現実的なサイズにかなり近づいていると感じます。
この先に、車椅子での日常で階段を苦に感じない未来があると感じさせてくれる、かっこいい車椅子でした。
楽しみです。
参考:バリアフリー2017出展のお知らせ | アビリティーズ・ケアネット(株)
アビリティーズ・ケアネット株式会社(公式サイトトップページ)
Welcome to B-Free Technology Ltd(メーカー公式サイト、英語)