車椅子で鑑賞できる、名勝旧大乗院庭園。
奈良ホテルの南側にある「名勝旧大乗院庭園」は、2010年から一般公開されている、車椅子で鑑賞できる庭園です。
奈良町散策の折に立ち寄ることもできますよ。
観光客の休憩所としても利用できる、「名勝大乗院庭園文化館」。
中には休憩スペースや、観光パンフレットなどが置かれたテーブルも。展示室には江戸時代に描かれた『大乗院四季真景図』などが展示されています。
休憩スペースからも、庭園が眺められます。
訪れた10月初旬、東大池にかかる朱色の反橋は25年振りの架け替え工事のため撤去されていました。橋のない光景は貴重かも知れません。
ちなみに、今年の2月に訪れたときの写真はこちら。
架け替え工事によって、橋を渡れるようにするとのこと。車椅子でも渡れるかどうかは解りませんが、やはりここに反橋がある方が景色はきまりますね。
庭園内部の入園料は100円ですが、障害者手帳の提示で無料にしていただけます。
鹿の入ってこない庭園は、芝生がふかふかしていてきれいです。この日は三ツ島のサルスベリの傍にシラサギが佇んでいました。
この「三ツ島」、ぷっくりしていてかわいらしい島です。
サルスベリはまだ少し花が残っていました。夏には鮮やかなピンク色に咲き誇るそうです。
文化館は庭園の南端にあります。池に沿ってぐるりと回り、庭園の西側を散策してみることに。
池に向かって傾斜しているところもあるので、車椅子の操作にはかなり注意をしました。
この辺りが、庭園の南西端っこです。傾斜から離れてゆっくり進みます。
先に進むと東屋が見えてきます。
このまま芝生を進んでも良いのですが、足元の凹凸が少し不安だったので、
左手の舗装された場所を進むことにしました。
庭園西側に建つ東屋(休憩施設)は、前述の『大乗院四季真景図』に描かれた「堪雪亭」とみられる遺構を元に、位置や規模を踏襲して造られているそうです。
この東屋から眺める景色もすてきです。穏やかなひとときを、ゆったり過ごせます。
さらに北へ向かってみます。
南側から眺めるのとはまた違った景色が楽しめます。
庭園の北西から振り返ると、西小池が一望できます。この一帯は先ほどの東屋も含め、発掘調査により判明した遺構を復元整備されたもの。江戸時代には「南都随一の名園」と謳われたそうです。
文化館の窓からも庭園は眺められますが、実際に庭へ出てみると印象が違ったので、ぜひ散策をお勧めします。
庭園の奥から「ならまちセンター」方面へ出られるとのことなので、奈良町散策の帰りに景色を楽しみながら通り抜けるのもいいかも知れませんね。
秋の紅葉も楽しみです。
名勝大乗院庭園文化館には、車椅子で入れるトイレもあります。
ただ、トイレに向かう通路がクランクになっている上に幅が簡易型電動車椅子ギリギリで、車椅子の操作能力が試されます。ちょうど幅の狭い箇所がやや暗くなっているので、ゆっくり進みました。手動車椅子の場合はこぐ手を挟まないように気をつけてくださいね。車椅子を介助する場合も注意が必要だと思います。
この先に男女トイレと車椅子トイレがあります。
名勝旧大乗院庭園については、下記のリンク先にて詳しく説明されています。
管理団体「日本ナショナルトラスト」ホームページより
「奈良ホテル」ホームページより
奈良町のカフェ、のこのこ。
奈良町にある「手作りケーキとお茶の店 のこのこ」さんは、私が杖歩行していた頃によく立ち寄っていたカフェです。
ならまち工房の2階にあったお店が、今年の2月、すぐ近くの1階に移転オープンされまして。
段差がないので、車椅子で入店できるようになりました。
再びちょくちょく訪ねられるようになり、とても喜んでいます。
入口前は少し急な勾配があり、私の簡易型電動車椅子では自力で上がれないので、ガラス越しにお店の方に手を振り、押して頂いて入店しています。いつもありがとうございます。
入ってすぐ左の、窓際席が好きです。
テーブル脚の間は、車椅子のフットレストがすっぽり入る幅です。
店内には本棚があって、店内でゆっくり読むこともできます。
ただ、車椅子で本棚の前に行くのはスペース的にちょっと難しいかも知れません。
本の隣やワゴンには食器や雑貨も置いてあります。前に友人と一緒に尋ねたときは、ここで友人が食器を購入していました。
ケーキのショーケース前まで車椅子で行けない場合も、左手の壁に本日のケーキ一覧が掲げてあるので、見て選べます。
この日はひとりで訪れて(というか大抵はひとりでふらりと訪ねています)、キッシュとパウンドケーキ、チャイを注文しました。
この日のキッシュは「北海道かぼちゃときのこのジンジャー風味キッシュ」。
かぼちゃがとても甘くて、かみしめていると後からしょうがのほのかな辛さが追いかけてきます。きのこはエリンギとブナシメジ。ほくほくなのにサクサクと幸せな食感! あと、付け合わせの千切りキャベツはオーブンで焼いてあるので、甘さが増して中はしんなり、外はシャキッと香ばしいですよ。
「塩キャラメルマーブルパウンド」は、プルーンの入ったパウンドケーキに生クリームとなめらかな塩キャラメルが添えてあります。
少しずつ加えながら食べることで味の変化が楽しめます。塩キャラメルがとても濃厚で、また幸せな気持ちになりました。
のこのこさんの「ジンジャーチャイ」で私はチャイのおいしさに目覚めました。甘さ控えめでケーキにもよく合います。辛めが好みの方には、ジンジャーを足すこともできるそう。私はそのままでちょうどおいしく頂きました。ゆっくり飲む場合は途中でかき混ぜつつ頂きます。
これまでに頂いたケーキもご紹介。
2月の仮オープン時に頂いたチーズケーキ。めちゃ濃厚でした。
コーヒー豆はすべて「珈琲屋 凡豆(ぼんず)」さんから仕入れているそうで、とても飲みやすくて香り豊かです。カフェオレもおいしいですよ。注文後にドリップされます。
こちらはのこのこさん史上最高濃度の「コーヒーマーブル濃厚チーズケーキ」。食べ始めたら最後まで止まりませんでした。いやほんとノンストップ。コーヒーの苦味が、濃厚なチーズの風味と絡み合って最高です。最後にコーヒーの香りが口内に残るのが堪らない…!
友人と一緒に訪ねた夏のある日。友人はレアチーズムースとコーヒー、私はベイクドチーズケーキとジンジャーチャイ。 ひとりで来ても、二人で来ても、ゆったりくつろげる空間です。
天井が高いのもすてき。
パラアート展で、書道を楽しむ。
私は小学生から中学2年生まで書道教室に通っていました。
明治の終わり生まれのおじいちゃん先生は、「徴兵されたとき字がうまいからと通信係になって前線には行ってない」という話が口癖で、幼い私たちは「字がうまかったら戦争で生き残れる」と思ったものでした。ワープロやパソコンが登場し始めた時代でしたが、メールなど想像もしてなかったのでした。
閑話休題。
そんな訳で、私は毛筆で字を書くのはかなり好きでしたし、達筆な書を鑑賞するのも以前から好きだったのです。
今年、奈良県では9月から11月までの3ヶ月間、「第32回国民文化祭・なら2017」「第17回全国障害者芸術・文化祭なら大会」および「奈良県大芸術祭」が開催されていて、あちらこちらで芸術作品を鑑賞することができます。
その中のひとつ、天理で開催された「パラアート展」に行ってきました。
9月10日、JR天理駅の高架下にある天理駅前南団体待合所では、絵画や写真、工作など様々な作品が展示されていました。そこで話を聞くと、書道の展示が別の会場で行われているとのこと。
それは観に行かねばと、天理本通り商店街にある「ギャラリーおやさと」へ向かいました。
そこで開催されていた、「カルガモパラアート展」。
メインに展示されていたのは、障がい者の表現活動をサポートする団体「カルガモ倶楽部」に所属する書家・川上美也子さんの書道作品でした。
「朱鷺」川上美也子
あまりの迫力に、しばらくこの前から動けなくなりました。
何と豪快で、そして美しいのでしょう。
川上さんは、脳性まひのため移動に電動車椅子を使用されています。右手が使えないため左手でお書きになるのですが、大きな書に臨むときは立ち上がり、力強く運筆なさるのです。
他にもたくさんの作品が展示されていました。
「終」川上美也子
こちらは夢で「終」という字の形を見て、そのまま再現されたのだそうです。
「命」川上美也子
「生命」川上美也子
「静心」川上美也子、「鮮」川上美也子
うまく写真に収められなかったのですが、「戦争」と題された4連作も迫力がありました。
川上さんは、書いた文字には命があると話しておられました。書いているときに「うまくないな」と思っても、書き上げた瞬間にその文字は手を離れ、川上さんの心に訴えかけてくるのだそうです。その瞬間から、自分のものではなくなるのだとのこと。だから、書き上げた後に手を加えたりはしないのだそうです。
どの作品も、観ているこちらに迫ってくる勢いを感じました。
かな文字の、やさしい作品も。
「しあわせ」川上美也子
見る人それぞれの心に、思い浮かぶ景色や感情がありますね。
川上美也子さんのウェブサイトはこちらです。
会場では書道を楽しむワークショップも開催されていました。
サポートしていただきながら、私も参加させてもらいました。
支えがないと立てないので、座ったまま書きました。
「あした」の「た」の最後をしっかりとめて、筆を持ち上げた瞬間です。
こんな大きな紙(全紙)に、太い筆で書くのは初体験でした。太い筆は、どんな持ち方をしても応えてくれる頼もしさを感じました。とても良い紙・墨・筆を使わせていただいて運筆するのは本当に気持ちよくて、何と言うのでしょう、クセになりそうでした。
すばらしく貴重な体験をさせていただいたと思います。ありがとうございました。
天理での「パラアート展」は、11月25・26日にも開催されます。会場は「天理市文化センター」に移りますが、川上美也子さんの書道作品も多く展示されます。
私の書いた「あした」も展示してもらえることになりました。現在、表装していただいています。展示されるというのも初めてのことなので、今からものすごく緊張しています。
そのほか、今年の秋に奈良で楽しめる文化祭・芸術祭へのリンクはこちらから。
奈良市観光センター、ナラニクル。
奈良市の三条通りにある奈良市観光センターが、この6月にリニューアル。
「ナラニクル」として生まれ変わりました。
案内カウンターもおしゃれ。奈良のお土産やイベントなどのパンフレットもたくさん置いてあります。また、体験コーナーでは様々イベントも開催されるようです。詳細は奈良観光協会のホームページで「お知らせ」として掲載されています。
外観はこんな感じ。
んん? レストランのマークがありますね。
なんと、カフェがオープンしたのです。
カフェの入り口は左手にあります。スロープは長めに取ってあって、勾配は緩やかです。
スロープの途中にテイクアウトの窓口があります(上の写真で見切れてますが右側)。カウンターは車椅子に座ったままでも手が届く高さでした。
店内はゆったりとしたスペースで、様々なスタイルのテーブルと椅子が並びます。気分によって席を選ぶのも楽しそう。
初めて訪れたときは、友人と一緒にランチをしました。
私が注文したのは、「エトランジェボックスランチ」。
豆腐ハンバーグがとても気に入りました。ひじきやレンコンがふんだんに練りこまれ、レンコンのシャキシャキとした食感も楽しめます。
豆腐ハンバーグの下にあるのはたまねぎとトウモロコシのかき揚げ。香ばしくて甘い。
串に刺さったアスパラに添えられたソースもおいしくて、えびはプリッとしてて、玉子焼きはとてもやさしい味でした。(内容は変更される可能性があります)
その後、ひとりでカフェタイムに訪ねて、店員さんにお勧めしてもらった「はちみつレモンパフェ」を食べてみました。お腹が冷えたときのために、「大和抹茶ラテ」も注文。かなり贅沢なティータイムです。
鹿のクッキーがめちゃくちゃかわいい。
ちなみにこの鹿は、テイクアウトの「ナラッドソフトクリーム」にもちょこんとのっています。
このソフトクリームが、ものすごくなめらかなんですよ。そして冷えすぎない。レモンピールが散らされていてほのかな酸味があり甘さも控えめなので、ぱくぱくと食べられます。
ナラッドバニラソフトクリームの下は、爽やかなレモンゼリー、レアチーズケーキ、グラノーラ、ヨーグルト、自家製レモネードシロップ、アールグレイのパウンドケーキと続きます。最後のパウンドケーキはレモネードシロップにしっかりとひたされ、食べ進めるにつれて酸味が強まるので、最後まで飽きることなく楽しめました。というかあっという間に食べてました。
パフェは他に、「ショコラベリーパフェ」「黒蜜きなこパフェ」があります。
大和抹茶ラテはとても濃厚に抹茶を感じられます。ミルクによる甘さはほとんどなく、お茶の苦みが活きていて、かつまろやか。実はこれまで「抹茶とミルクって合うのかな」と不安だったのですが、とてもおいしく頂きました。
カップは大きめでズシリと重量があるので、両手で持ちました。あと、前半(カップの上半分)がどうも抹茶が濃いめだったらしく、牛乳だけで飲むのが苦手な私は後半に抹茶不足を感じたので、次に注文するときは最初に混ぜてから頂こうと思います(笑)
カフェの奥には、多目的トイレ(多機能トイレ)があります。
引き戸は軽くて開けやすいと感じました。ウォシュレット、自動水洗センサーあり。ベビーシートとベビーチェアがあります。
また、授乳室も完備されています。使用時にはスタッフさんに声をかけてください。
パーティーや飲み会にも対応しているので、今後もいろいろなシーンで訪ねたくなります。
柿尽くしのお店、柿の専門。
奈良の名産のひとつ、柿。
その柿を使った様々な商品を販売するお店「柿の専門」の三条通店が、奈良市の「やすらぎの道」と「三条通り」交差点の北東角にあるビル1階奥にあります。
白で統一された店内はシンプルでおしゃれ。
カウンターは車椅子からだと少し高めですが、店員さんが商品をひとつひとつ丁寧に説明してくださいます。試食できるものもありますよ。
何度か買い物した中で、私が一番気に入っているのは「柿バター」です。柿の果肉が入ったバターはまるでキャラメルのように濃厚な甘さ。アツアツのトーストにのせるともうたまりません。
柿餡が入った「柿もなか」はほんのり香る柚子が程よい酸味を加えてますし、富有柿をスライスして乾燥させた「柿日和」は干し柿とは全く違った味わいでおいしいです。他にもたくさん柿尽くしの商品が並んでいます。
先日訪ねたところ、夏のオススメは「柿こーり」とのことだったので、購入してみました。完熟柿を吉野葛で包み、冷凍してあります。
こちらは半解凍で頂くのがベストで、表面が透き通ってきた頃合いが食べごろとのこと。
弾力のある吉野葛の奥に、ややシャリシャリした食感の柿の甘さがひそんでいます。口内で混ざり合うととても不思議な食感に。ひんやりしておいしいですよ。
ただ、後から気がついたのですが、説明書きには「なめらかな食感」って書いてあるんですよね…。もしかしたら、私はちょっと早めに食べてしまったのかも知れません。
冷凍で受け取るので、持ち帰り時間は2時間までとタイトですが、ほんとオススメです。
お店はビル1階の奥にあります。
歩道からビルに上がるのに段差があって、私の簡易型電動車椅子では自力では越えられないので、ひとりで訪ねる時は歩道からこのガラス張りの店内に向かって手を振り、店員さんの手をお借りしています。ありがとうございます。
車椅子の後方下部に突き出た転倒防止バーを踏んでもらい、前輪を上げて段差を越えます。また、店内の通路は奥に細長いので、車椅子の操作はゆっくり慎重に行います。
手土産の定番にしたいので、今後もちょくちょく立ち寄りたいと思っています。
「柿の専門」の商品は、ネットショップでも購入できるようです。
参考:柿の専門 奈良吉野いしい【本店】 〜こだわりの柿菓子・柿スイーツ〜(公式ホームページ)