車椅子で、ビリヤード。
最近になって知ったことなんですが。
ビリヤードって、車椅子でもプレイできるんですってね。
学生時代、先輩に連れられてビリヤードで遊んでいました。
ちょっとオトナになった気分で、全く上達しない下手なプレイでしたけれど、とても楽しかったことを憶えています。
あれから20年。車椅子でも遊べるんなら久し振りにやってみたいなと思い、前から目をつけていたラウンドワンへ友人と一緒に行ってきました。
近鉄新大宮駅から大宮通を西へ。市役所の手前に、そのラウンドワンはあります。ボーリングがメインですが、アーケードゲームのほかに、ビリヤード台もあります。
ラウンドワンは南側歩道にありますが、大宮通の歩道は北側の方が広くて通行しやすいので、ギリギリまで北側を進みました。
フロントのある3階に、ビリヤード台が置いてあります。台の周りはスペースがゆったりとってあるので、車椅子でも問題なくプレイできます。
さて、私も友人も20年振りに遊ぶとあって、思い出しながらのプレイとなりました。とりあえず確実に記憶にあるナインボールをしてみたのですが、結果的にですね、我々は1時間かけて1ゲームをようやく終えるという体たらく。
手球をまっすぐ撞くのって、こんなに難しかったですかね…?
何度か撞いてみて解ったのですが、座っていると肘の位置が低いので、立ってかがんだ時とはキューさばきが違ってくるんですね。だから、台と並行にキューを突き出すのがとても難しい。ぶれてしまうのです。
今回は最後までうまくさばくことができなかったので、これは今後の課題だなと思いました。
ゲームとしては、友人の勝利。私が入れた的玉はひとつだけでした。でも、その1回がものすごく気持ちよかったんですよね。学生時代も大してうまくはなかったので勝てたことなんてないんですが、当時のことを思い出しました。
座ったままでも、メカニカルブリッジ(手球に手が届かないときに使う長い柄のついた器具)を使えば大抵は何とかなります。
あ、何とかなるとは言いましたが、入るとは言ってませんよ。
20年前に比べると筋力が低下しているので、キューがとても重く感じました。手が震えてしまったり、撞くのに良い態勢を取るための位置に車椅子を思ったようにつけられなかったり、いろいろと練習すべきところがあるので、また行きたいと思います。
たぶん1時間が限度なので(この後かなりの筋肉痛になりました、あまりよくないことなので反省しています)、ちょっとずつ練習しようと思います。
奈良散策のお供に、奈良おでかけ安心サポートマップ。
昨年2月から、産経新聞奈良版で「車いすでみるなら」というコラムを月2回程の頻度で連載しています。主に奈良のあちこちへ車椅子で出向いて楽しめたことを書いています。
出かける時にとても便利なのが、「奈良県観光バリアフリーマップ」でした。多目的トイレの場所、道路の傾斜や歩道の有無、観光施設の段差やスロープの場所、ホテルのバリアフリー情報などが記されています。
昨年春に、改訂版「奈良おでかけ安心サポートマップ」が発行されました。私がそれを手にしたのはつい先日なのですが、随分と情報量が増え、ページも多くなっていました。
観光案内所などで貰えるほか、奈良県ホームページでデジタルブックとして公開されています。
「奈良おでかけ安心サポートマップ」(中央)と、旧版の「奈良県観光バリアフリーマップ」(右)。奈良町の散策には、「奈良町おさんぽガイドMAP2016」(左)を併用して活用しています。
先日、機会を頂いて、どのようにしてこのマップが作られたのか、奈良県観光局観光プロモーション課プロモーション推進係の松田さんと髙橋さんにお話を伺うことができました。
初版の「奈良県観光バリアフリーマップ」は、障害者を臨時的に雇用して現地調査をし、約1年をかけて作成したそうです。
改訂版「奈良おでかけ安心サポートマップ」の作成には旧版のデータをもとに、高齢者や子育て世代、障害者にヒアリングをして要望を聞き、観光施設約450箇所からアンケート回答を得て、車椅子や疑似装具の体験で研修を受けた委託業者が調査ポイント約2500箇所を現地調査。掲載する地図の範囲を、しらみつぶしに調査されたそうです。すばらしい。
改訂版に追加された情報は、施設のFAX番号とQRコード(施設のホームページURLなど)。聴覚障害者にとって非常に有用とのことでした。また、施設の写真も増えていて、スロープやトイレの様子がよく判ります。
お話を伺って印象に残ったのは、「ヒアリングの中で視覚障害者が最も不自由度合いが高いと感じた」という言葉でした。まず、バリアフリー情報をどう伝えるかという課題もあります。マップには旧版からSPコードが掲載されていますが、改訂版にも継続されています。
私は車椅子を使用するようになってから、外出するのに「トイレ」と「段差」と「エレベーター」をとても気にするようになりました。ひとりで電動車椅子で出かけるようになってからは特にです。
出向く先の情報を事前に知ることができて、不安を解消できたら、きっと外出が楽しみになると思います。ともすれば出不精になりがちですが、このマップをご覧になった多くの方に、奈良を楽しんでもらいたいなと思いました。
今回お話を伺ったのはもちろん奈良県庁でした。
奈良県庁前の通路は、道路への段差を完全になくす勢いでスロープ状になっています。車椅子で通行していてもとても滑らかでストレスがなく、感動しました。私は電動ですが、この傾斜角度であれば手動でもかなり楽なのではないでしょうか。
奈良県庁で、奈良一望と生パスタ。
奈良県庁の屋上へ、初めて上がってきました。
遮るものなく目の前にどどんと現れる若草山。そして大仏殿。
ここで3時間くらい、ぼーっと眺めていられる自信があります。
参考:県庁舎屋上広場の開放日程について/奈良県公式ホームページ
週末や祝日も解放されていることが多いので、おすすめです。日程は上記リンク先からご確認ください。
こちらは西向き。生駒山がなだらかに見えます。左に見えるのは近鉄奈良駅ビル。ここから平城宮跡の大極殿が見えるとのことで、双眼鏡が置いてあります。
ベンチもあって、のんびり過ごすことができます。
屋上の中央にある県庁のシンボル。若草山を眺める位置にあるベンチには屋根があります。
ちなみに、ベンチは奈良県産のヒノキで作られています。
奈良公園に在って、鹿のふんがない貴重な芝生ですが、鹿の親子がいました(置物)。
屋上を堪能した帰りに、東棟1階のカフェ「クルール」で食事をしました。東棟にはコンビニもあり、いずれかで購入したものをテーブル席でいただくことができます。
頼んだのはカルボナーラ。4種のチーズと黒胡椒、ベーコンの香りが豊かで、半熟玉子の黄身がとろりパスタに絡みます。そして、もちもちのパスタ!
なんと、生パスタを使用しているそうなのです。
カルボナーラは780円。後日、茄子のボロネーゼ(680円)を注文しましたが、そちらもしっかりとした味わいでおいしかったです。100円追加でドリンクセットにできます。せんとくんマグカップで出してもらえますよ。
本来はセルフサービス式なのですが、店員さんが席まで運んでくださいました。ありがたいことです。
車椅子で席につきやすいテーブルでした。
今度行くときは、カフェでランチを食べて、コンビニで飲み物を買って、屋上で若草山を眺めながらのんびりしたいなと思いました。
学園前で、お箸で頂くフレンチ。
以前からぐるなびで見つけて気になっていた、お箸で頂くフレンチのお店へランチに行ってきました。
創作 和フランス料理「ル・プレジール」は、奈良の近鉄学園前駅から北へ徒歩10分弱の住宅街にあります。
お店の入口にはスロープが設置されていて、店内まで段差なく入れます。
私が注文したのは肉のコース料理。前菜、スープ、今月の肉料理(鶏肉・羊肉・牛肉から選べます)、デザート、パンと自家製バター、食後の飲み物で2,700円(税込)です。
食事の際に、ノンアルコールのシャルドネスパークリングを頼みました。私はもともとあまりお酒は飲みませんが、電動車椅子だと飲酒ができないので、料理に合わせて楽しめるノンアルコールドリンクの種類が多いのは嬉しいです。
前菜は「高知県産初カツオの炙り」。ブリティッシュソースで頂きます。薄くスライスされた白葱のしゃきっとした食感が楽しかったです。
写真は撮りませんでしたが、こちらのパンもとてもおいしかったです。添えられた自家製バターにはスペイン産の乾燥ブラックオリーブが混ぜ込まれていて、味のアクセントになっていました。
スープは新玉葱のポタージュ。器の底に茶碗蒸しが隠れていて、食べ進むうちに味が変化します。
メインは「フランス産ホロホロ鶏のソテー エストラゴン風味」を選びました。ボリュームのある骨付き肉は弾力のある歯ごたえと肉汁で、ソースがよく絡んでおいしかったです!
こちらのお店では初めからお箸を出してくださるので、少し行儀が悪いんですが、先にナイフとフォークで切り分けてからお箸で頂きました。私は体幹の筋力が弱く、座っている時も左手で身体を支えています。そうすると両手でナイフとフォークを使い続けるのがちょっと難しいので、お箸が使えるのはとても助かります。
デザートはフロマージュブリュレと苺のジェラートで、メイン料理で満腹だと思っていたのにするりと頂けてしまいました。これが別腹か…。
この日は連休の初日。前日に予約は取れましたが、行ってみれば満席となっていました。リラックスしてゆっくりと食事を楽しめたので、またぜひ行ってみたいです。
学園前は坂道の多い住宅街です。駅から向かう時は、バス通り沿いの歩道を進むのが行きやすいと思います。
道路から建物の敷地に上がるスロープがとても急なので、注意が必要です。
簡易型電動車椅子でも上ることはできましたが、降りる時は後ろ向きに進みました。前向きで降りるのがちょっと怖く感じる程度には急です。
ならまちのニュースポット、鹿の舟。
ならまちに昨年11月にオープンした「鹿の舟」へ友人と行ってきました。
ここは奈良のカフェ「くるみの木」がプロデュースする複合施設で、奈良町南観光案内所「繭(まゆ)」、食堂&グローサリー「竈(かまど)」、喫茶室「囀(さえずり)」があります。
奈良町南観光案内所「繭」は、大正初期に建てられた和洋折衷の建築です。以前は「ならまち振興館」として運営されていました。
入口にはスロープがあり、板張りの館内に車椅子のままで入れます。
観光案内所にはパンフレットや地図のほか、パソコンやiPadも置いてあります。カウンターにはスタッフの方がいて、私が中庭にある蔵を見ていると吐き出し窓を開け放って出られるようにしてくださいました。
中庭には、蔵を利用した展示室があるのです。
展示室の入口は段差が高かったので、中には入らず戸口から眺めるだけにしましたが、蔵からひんやりと冷気を感じました。
手動車椅子であれば、介助で上がれるかもしれません。
(簡易型電動車椅子はちょっと重いので、この段差は厳しいのです)
「繭」の奥には小さな図書室があります。円柱をくりぬいたような本棚があり、その入口はちょうど車椅子でくぐれる大きさ。棚の中に入るとぐるり周囲を本に囲まれます。
本棚の近くには読書室があり、庭に面したスペースに大きな机が置いてあります。
蚊帳がめぐらされたこの空間はとても落ち着きますよ。テーブルには新聞も置いてありました。
ぼーっと過ごしたくなります。
食堂&グローサリー「竈」でランチしました。
昼ごはんが始まる11時頃に着いたので、並んでいたお客さんに続いて入りました。入口にはスロープがあります。
先に食券を買って、小鉢を選んでトレイを席まで運ぶセルフサービス式ですが、私のトレイは店員さんが運んでくださいました。
食券販売機のお札投入口は高い位置にあるので、私は車椅子の肘置きを持って立ち上がりましたが、それが難しい場合は店員さんに頼めると思います。
テーブルの脚の間が車椅子にはちょっと狭くて、足置きが入らなかったので、外して荷物入れの籠に置きました。足置きを外すとテーブルの下にスペースがなくてもギリギリまで近づけるので、椅子に座るのと同じような感じになります。
私が注文したのは天ぷら定食。
この日の天ぷらは、牛蒡と大和真菜のかき揚げ、奈良魚万焼き竹輪の磯辺揚げ、二十日大根、雪の下、たけのこ。レモンと塩でいただきました。
もう、ほんとに、しみじみとおいしかったです。
小鉢では高野豆腐の煮物が香ばしくておいしかったです。多分、軽く揚げてあると思うんですよね。
ご飯は店内の竈で炊かれた奈良産米で、お代わり自由です。
食事後にトレイを下げるのも本来はセルフサービスですが、店員さんが下げてくださいました。
「竈」の店内では、奈良産の食材や食品、料理にまつわる器や道具も販売されています。いろいろ買いたくなってしまう品揃えでした。
実は食事のあと、きっとコーヒーもおいしかろうと喫茶室「囀」に向かったのです。
「繭」から畑の横を通って「囀」に行けるのですが、入口の前に階段があり、入ることはできませんでした。残念。
ホームページの写真を見ていると店内はとってもいい雰囲気で、「くるみの木」と同じようなおいしそうなメニューが並んでいます。
階段を上がったところにあるウッドデッキの椅子までなら杖で歩けそうな気がするので、次に行くときは杖を持って行って、車椅子を置いて上がろうかなんて考えてしまうくらいには、行ってみたいです。