車椅子、ときどき杖。

外出には車椅子を使っています。ときどき杖も使います。車椅子で訪れたスポットや、普通に歩いていた頃には気づかなかったいろいろや、便利だと思う道具について。

奈良町のカフェ、のこのこ。

奈良町にある「手作りケーキとお茶の店 のこのこ」さんは、私が杖歩行していた頃によく立ち寄っていたカフェです。

ならまち工房の2階にあったお店が、今年の2月、すぐ近くの1階に移転オープンされまして。

段差がないので、車椅子で入店できるようになりました。

再びちょくちょく訪ねられるようになり、とても喜んでいます。

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入口前は少し急な勾配があり、私の簡易型電動車椅子では自力で上がれないので、ガラス越しにお店の方に手を振り、押して頂いて入店しています。いつもありがとうございます。

入ってすぐ左の、窓際席が好きです。

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テーブル脚の間は、車椅子のフットレストがすっぽり入る幅です。

店内には本棚があって、店内でゆっくり読むこともできます。

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ただ、車椅子で本棚の前に行くのはスペース的にちょっと難しいかも知れません。

本の隣やワゴンには食器や雑貨も置いてあります。前に友人と一緒に尋ねたときは、ここで友人が食器を購入していました。

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ケーキのショーケース前まで車椅子で行けない場合も、左手の壁に本日のケーキ一覧が掲げてあるので、見て選べます。

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この日はひとりで訪れて(というか大抵はひとりでふらりと訪ねています)、キッシュとパウンドケーキ、チャイを注文しました。

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この日のキッシュは「北海道かぼちゃときのこのジンジャー風味キッシュ」。

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かぼちゃがとても甘くて、かみしめていると後からしょうがのほのかな辛さが追いかけてきます。きのこはエリンギとブナシメジ。ほくほくなのにサクサクと幸せな食感! あと、付け合わせの千切りキャベツはオーブンで焼いてあるので、甘さが増して中はしんなり、外はシャキッと香ばしいですよ。

 

「塩キャラメルマーブルパウンド」は、プルーンの入ったパウンドケーキに生クリームとなめらかな塩キャラメルが添えてあります。

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少しずつ加えながら食べることで味の変化が楽しめます。塩キャラメルがとても濃厚で、また幸せな気持ちになりました。

 

のこのこさんの「ジンジャーチャイ」で私はチャイのおいしさに目覚めました。甘さ控えめでケーキにもよく合います。辛めが好みの方には、ジンジャーを足すこともできるそう。私はそのままでちょうどおいしく頂きました。ゆっくり飲む場合は途中でかき混ぜつつ頂きます。

 

これまでに頂いたケーキもご紹介。

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2月の仮オープン時に頂いたチーズケーキ。めちゃ濃厚でした。

コーヒー豆はすべて「珈琲屋 凡豆(ぼんず)」さんから仕入れているそうで、とても飲みやすくて香り豊かです。カフェオレもおいしいですよ。注文後にドリップされます。

 

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こちらはのこのこさん史上最高濃度の「コーヒーマーブル濃厚チーズケーキ」。食べ始めたら最後まで止まりませんでした。いやほんとノンストップ。コーヒーの苦味が、濃厚なチーズの風味と絡み合って最高です。最後にコーヒーの香りが口内に残るのが堪らない…!

 

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友人と一緒に訪ねた夏のある日。友人はレアチーズムースとコーヒー、私はベイクドチーズケーキとジンジャーチャイ。 ひとりで来ても、二人で来ても、ゆったりくつろげる空間です。

 

天井が高いのもすてき。

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 お店のブログとSNSはこちら。日替わりのケーキはSNSで確認できます。

yaplog.jp

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www.instagram.com

パラアート展で、書道を楽しむ。

私は小学生から中学2年生まで書道教室に通っていました。

明治の終わり生まれのおじいちゃん先生は、「徴兵されたとき字がうまいからと通信係になって前線には行ってない」という話が口癖で、幼い私たちは「字がうまかったら戦争で生き残れる」と思ったものでした。ワープロやパソコンが登場し始めた時代でしたが、メールなど想像もしてなかったのでした。

閑話休題

そんな訳で、私は毛筆で字を書くのはかなり好きでしたし、達筆な書を鑑賞するのも以前から好きだったのです。

 

今年、奈良県では9月から11月までの3ヶ月間、「第32回国民文化祭・なら2017」「第17回全国障害者芸術・文化祭なら大会」および「奈良県大芸術祭」が開催されていて、あちらこちらで芸術作品を鑑賞することができます。

その中のひとつ、天理で開催された「パラアート展」に行ってきました。

 

9月10日、JR天理駅の高架下にある天理駅前南団体待合所では、絵画や写真、工作など様々な作品が展示されていました。そこで話を聞くと、書道の展示が別の会場で行われているとのこと。

それは観に行かねばと、天理本通り商店街にある「ギャラリーおやさと」へ向かいました。

 

そこで開催されていた、「カルガモパラアート展」。

メインに展示されていたのは、障がい者の表現活動をサポートする団体「カルガモ倶楽部」に所属する書家・川上美也子さんの書道作品でした。

 

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「朱鷺」川上美也子

あまりの迫力に、しばらくこの前から動けなくなりました。

何と豪快で、そして美しいのでしょう。

 

川上さんは、脳性まひのため移動に電動車椅子を使用されています。右手が使えないため左手でお書きになるのですが、大きな書に臨むときは立ち上がり、力強く運筆なさるのです。

他にもたくさんの作品が展示されていました。

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「終」川上美也子

こちらは夢で「終」という字の形を見て、そのまま再現されたのだそうです。

 

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「命」川上美也子

 

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「生命」川上美也子

 

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「静心」川上美也子、「鮮」川上美也子

 

うまく写真に収められなかったのですが、「戦争」と題された4連作も迫力がありました。

川上さんは、書いた文字には命があると話しておられました。書いているときに「うまくないな」と思っても、書き上げた瞬間にその文字は手を離れ、川上さんの心に訴えかけてくるのだそうです。その瞬間から、自分のものではなくなるのだとのこと。だから、書き上げた後に手を加えたりはしないのだそうです。

どの作品も、観ているこちらに迫ってくる勢いを感じました。

 

かな文字の、やさしい作品も。

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「しあわせ」川上美也子

 

見る人それぞれの心に、思い浮かぶ景色や感情がありますね。

 

川上美也子さんのウェブサイトはこちらです。

かるがも母さんwebsite

 

 

 

会場では書道を楽しむワークショップも開催されていました。

サポートしていただきながら、私も参加させてもらいました。

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支えがないと立てないので、座ったまま書きました。

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「あした」の「た」の最後をしっかりとめて、筆を持ち上げた瞬間です。

 

こんな大きな紙(全紙)に、太い筆で書くのは初体験でした。太い筆は、どんな持ち方をしても応えてくれる頼もしさを感じました。とても良い紙・墨・筆を使わせていただいて運筆するのは本当に気持ちよくて、何と言うのでしょう、クセになりそうでした。

すばらしく貴重な体験をさせていただいたと思います。ありがとうございました。

 

天理での「パラアート展」は、11月25・26日にも開催されます。会場は「天理市文化センター」に移りますが、川上美也子さんの書道作品も多く展示されます。

私の書いた「あした」も展示してもらえることになりました。現在、表装していただいています。展示されるというのも初めてのことなので、今からものすごく緊張しています。

 

そのほか、今年の秋に奈良で楽しめる文化祭・芸術祭へのリンクはこちらから。

nara-kokushoubun.jp

 

nara-arts.com

奈良市観光センター、ナラニクル。

奈良市三条通りにある奈良市観光センターが、この6月にリニューアル。

「ナラニクル」として生まれ変わりました。

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案内カウンターもおしゃれ。奈良のお土産やイベントなどのパンフレットもたくさん置いてあります。また、体験コーナーでは様々イベントも開催されるようです。詳細は奈良観光協会のホームページで「お知らせ」として掲載されています。

narashikanko.or.jp

 

外観はこんな感じ。

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んん? レストランのマークがありますね。

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なんと、カフェがオープンしたのです。

カフェの入り口は左手にあります。スロープは長めに取ってあって、勾配は緩やかです。

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スロープの途中にテイクアウトの窓口があります(上の写真で見切れてますが右側)。カウンターは車椅子に座ったままでも手が届く高さでした。

店内はゆったりとしたスペースで、様々なスタイルのテーブルと椅子が並びます。気分によって席を選ぶのも楽しそう。

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初めて訪れたときは、友人と一緒にランチをしました。

私が注文したのは、「エトランジェボックスランチ」。

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豆腐ハンバーグがとても気に入りました。ひじきやレンコンがふんだんに練りこまれ、レンコンのシャキシャキとした食感も楽しめます。

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豆腐ハンバーグの下にあるのはたまねぎとトウモロコシのかき揚げ。香ばしくて甘い。

串に刺さったアスパラに添えられたソースもおいしくて、えびはプリッとしてて、玉子焼きはとてもやさしい味でした。(内容は変更される可能性があります)

 

 

その後、ひとりでカフェタイムに訪ねて、店員さんにお勧めしてもらった「はちみつレモンパフェ」を食べてみました。お腹が冷えたときのために、「大和抹茶ラテ」も注文。かなり贅沢なティータイムです。

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鹿のクッキーがめちゃくちゃかわいい。

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ちなみにこの鹿は、テイクアウトの「ナラッドソフトクリーム」にもちょこんとのっています。

このソフトクリームが、ものすごくなめらかなんですよ。そして冷えすぎない。レモンピールが散らされていてほのかな酸味があり甘さも控えめなので、ぱくぱくと食べられます。

ナラッドバニラソフトクリームの下は、爽やかなレモンゼリー、レアチーズケーキ、グラノーラ、ヨーグルト、自家製レモネードシロップ、アールグレイのパウンドケーキと続きます。最後のパウンドケーキはレモネードシロップにしっかりとひたされ、食べ進めるにつれて酸味が強まるので、最後まで飽きることなく楽しめました。というかあっという間に食べてました。

パフェは他に、「ショコラベリーパフェ」「黒蜜きなこパフェ」があります。

 

大和抹茶ラテはとても濃厚に抹茶を感じられます。ミルクによる甘さはほとんどなく、お茶の苦みが活きていて、かつまろやか。実はこれまで「抹茶とミルクって合うのかな」と不安だったのですが、とてもおいしく頂きました。

カップは大きめでズシリと重量があるので、両手で持ちました。あと、前半(カップの上半分)がどうも抹茶が濃いめだったらしく、牛乳だけで飲むのが苦手な私は後半に抹茶不足を感じたので、次に注文するときは最初に混ぜてから頂こうと思います(笑)

 

カフェの奥には、多目的トイレ(多機能トイレ)があります。

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引き戸は軽くて開けやすいと感じました。ウォシュレット、自動水洗センサーあり。ベビーシートとベビーチェアがあります。

また、授乳室も完備されています。使用時にはスタッフさんに声をかけてください。

 

パーティーや飲み会にも対応しているので、今後もいろいろなシーンで訪ねたくなります。

 

www.cafe-etranger.jp

 

柿尽くしのお店、柿の専門。

奈良の名産のひとつ、柿。

その柿を使った様々な商品を販売するお店「柿の専門」の三条通店が、奈良市の「やすらぎの道」と「三条通り」交差点の北東角にあるビル1階奥にあります。

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白で統一された店内はシンプルでおしゃれ。

カウンターは車椅子からだと少し高めですが、店員さんが商品をひとつひとつ丁寧に説明してくださいます。試食できるものもありますよ。

何度か買い物した中で、私が一番気に入っているのは「柿バター」です。柿の果肉が入ったバターはまるでキャラメルのように濃厚な甘さ。アツアツのトーストにのせるともうたまりません。

柿餡が入った「柿もなか」はほんのり香る柚子が程よい酸味を加えてますし、富有柿をスライスして乾燥させた「柿日和」は干し柿とは全く違った味わいでおいしいです。他にもたくさん柿尽くしの商品が並んでいます。

先日訪ねたところ、夏のオススメは「柿こーり」とのことだったので、購入してみました。完熟柿を吉野葛で包み、冷凍してあります。

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こちらは半解凍で頂くのがベストで、表面が透き通ってきた頃合いが食べごろとのこと。

弾力のある吉野葛の奥に、ややシャリシャリした食感の柿の甘さがひそんでいます。口内で混ざり合うととても不思議な食感に。ひんやりしておいしいですよ。

ただ、後から気がついたのですが、説明書きには「なめらかな食感」って書いてあるんですよね…。もしかしたら、私はちょっと早めに食べてしまったのかも知れません。

冷凍で受け取るので、持ち帰り時間は2時間までとタイトですが、ほんとオススメです。

 

お店はビル1階の奥にあります。

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歩道からビルに上がるのに段差があって、私の簡易型電動車椅子では自力では越えられないので、ひとりで訪ねる時は歩道からこのガラス張りの店内に向かって手を振り、店員さんの手をお借りしています。ありがとうございます。

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車椅子の後方下部に突き出た転倒防止バーを踏んでもらい、前輪を上げて段差を越えます。また、店内の通路は奥に細長いので、車椅子の操作はゆっくり慎重に行います。

手土産の定番にしたいので、今後もちょくちょく立ち寄りたいと思っています。

 

「柿の専門」の商品は、ネットショップでも購入できるようです。

参考:柿の専門 奈良吉野いしい【本店】 〜こだわりの柿菓子・柿スイーツ〜(公式ホームページ)

 

 

車椅子用階段昇降機と、車椅子対応エスカレーター。

先日、東京メトロ六本木駅で、車椅子用階段昇降機と車椅子対応エスカレーターを利用してきました。

 

東京メトロ六本木駅には、車椅子で利用できる出入口が2ヶ所あります。

1ヶ所は、六本木ヒルズ前のエレベーターのある出入口(1c)。

もう1ヶ所、六本木交差点にある階段出入口(4a)に、車椅子用階段昇降機が設置されています。

参考:構内図 | 六本木駅/H04 | 東京メトロ

この日は銀座から東京メトロ日比谷線六本木駅に出て、国立新美術館へ向かったのでした。私は最初この階段昇降機を知らなかったので、前から知っていた六本木ヒルズのエレベーターで地上へ出て美術館へ向かったのですが。

この道中がですね、急勾配の坂道だったり、歩道の傾きや路面の状態がよくなかったり、車椅子にはなかなかハードな道のりだったのです。

帰りに東京ミッドタウンの地下通路にあるインフォメーションで、六本木交差点の階段昇降機を教えてもらいました。なるほど、こちらの出入口の方が安全です。

国立新美術館は、東京メトロ千代田線の乃木坂駅からなら直結で行けます。

 

階段の降り口にインターホンがあり、駅員さんを呼ぶことができます。

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ただこの日は交差点の車の音でインターホンの声が全く聞こえなかったので、一緒にいた友人が下まで降りて駅員さんを呼んで来てくれました。ありがとう。

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畳まれているリフトが、駅員さんの操作でゆっくりと上昇してきます。

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展開されたリフトに車椅子を進めてブレーキをかけると、また駅員さんの操作でゆっくり下降していきます。

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車椅子を利用するようになって、階段からはめっきり遠ざかっているので、この景色はとても新鮮です。ちょっとわくわくします。

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到着したら前を開けてもらって降ります。

 

このあと、改札階からホームへ下りるために車椅子対応エスカレーターを利用しました。

駅員さんの操作で、車椅子が乗れる平らなスペースが作れるのです。そのぶん切り立った崖のようになるので、ちょっとドキドキします。安全のため、車輪止めの突起が出てきます。

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途中で速度が上がったあと(思わず声を上げてしまいました)、到着前にスローになり、車輪止めが引っ込みます。

車椅子目線の動画はこちら。(音が出ます)

www.youtube.com