スーパーでの、お買い物。
簡易型電動車椅子で買い物に出かけると、「歩いていたときとは勝手が違うなあ」と思うことがいろいろあります。
その多くが、歩いていたときには気がつかなかったこと。
車椅子に座っていると高い棚に手が届かない、というのは何となく想像がつきますよね。
だけど、実は、それだけではないんです。
例えば、スーパーマーケットで買い物をする場合。
車椅子で陳列棚に近づくとき、正面から向かうとフットレストが棚に当たってしまって、手が届きません。車椅子の足の位置って、意外と前に突き出しているんですよね。
なので、棚に車椅子を横付けにします。
そうすると、生鮮食品など「下段に商品を平置きにしている陳列棚」の2段目以上には、手が届きにくいんですね。棚が奥まっているから。
歩いていたときはどうしてたかな、と思い返してみると、棚の前ぎりぎりに立って、前のめりになって、手を伸ばしていました。
こうして車椅子を棚に横付けにすると、商品を見るためにまず上半身をひねってから手を伸ばすので、「前のめり」の姿勢が取れないのです。
また、棚の足元が空いていて、車椅子を陳列台の正面からつけた場合も、立っていたときほど「前のめり」にはなれません。
なぜなら、手前の商品に身体が当たってしまうからです。そして、立っているときほどは遠くまで手が届きません。
意外に商品を取りにくいのが、通路にある冷蔵ケース。
完全に横付けにすると商品が見にくいので、少し斜めにつけるのですが、車椅子からだとケースの縁がそこそこ高い位置にあるので、深くまで手を差し入れるのはかなり難しいです。
肘と手首の間にもうひとつ関節が欲しくなります(笑)
こんな風に、手が届きにくい場所はいろいろとありますが、棚の前などで私が止まっていると、近くにいた店員さんや他のお客さんが「取りましょうか?」と声をかけてくださることが本当に多いです。
声をかけていただいたときは、お言葉に甘えて取っていただくようにしています。ありがたいことです。
どうしても取れないときは、私から近くにいる人にお願いすることもあります。
また、大型スーパーでは、通路の幅がかなりゆったりと取ってあるので、車椅子でも気兼ねなく通行できるのが嬉しいです。
レジの通路も広めなことが多いです。大きなカートも通れるようになっているからでしょうね。
レジでは、商品の数が少なければ、精算時に店員さんが袋に入れてくださることもあります。自分で詰める時は、カゴをサッカー台に置くとカゴの縁が高い位置に来て中に手を差し入れにくいので、膝に乗せたカゴから商品を台の上に置いてから袋に入れたりもします。
カゴを横倒しにしても大丈夫な商品が多ければ、台に乗せたカゴを手前に倒すと取り出しやすいです。
※今回の写真は「イオン高の原店」で撮影しました。産経新聞奈良版と産経WESTで連載中のコラム『車いすでみるなら』および補足のためのブログ(この記事です)用に、許可をいただいています。
ホテルのバーは、バリアフリー。
少し前に友人と、バーの雰囲気に憧れるという話をしていて。
「バーって階段の先にあるものだよね」
という話になりました。
…確かに。
小さなビルの細い階段の先に、ひっそりと客を迎える渋いドアとか。
1階にあっても、店先に数段の階段があったりとか。
その階段が、日常との境目みたいなものだったりするのかも知れませんね。
車椅子で階段の先へ進むのは難しいので、バーに行くのは少々厳しいかなと思っていたのですが。
その友人が、「奈良ホテルとホテルフジタにバーがあるよ」と教えてくれたのでした。ホテルなら車椅子で入れる可能性が高い! と思って、さっそく電話しました。
バリアフリー問題もそうですが、私は簡易型電動車椅子を使っているため外出時の飲酒を控えています。電動車椅子は道路交通法上「歩行者」なので、お酒を飲んだとしても「飲酒運転」にはならないのですが、レバーを操作するうえで飲酒による判断能力の低下は命取りです。現に、電動車椅子の取扱説明書などにも「お酒を飲んだら乗らないこと」と明記されています。
つまり、バーには行きたいけどもお酒は飲めない訳です。
ということで、ホテルに電話した際には、車椅子で入店できるかどうかに加えて「ノンアルコールカクテルは提供されていますか」と聞いてみました。
いずれのホテルも、車椅子で問題なく入店できて、ノンアルコールカクテルもお作りしますよ、とのご返答でした。すばらしい。
お酒の飲めるその友人と一緒に、行ってきました。
奈良ホテル「ザ・バー」
奈良ホテルの本館1階にあるラウンジは、日中はティーラウンジとして営業し、18時からはバー「ザ・バー」に変わります。
バーカウンターのある部屋は明るく、カウンター席の椅子は座面が高いですが肘掛けがあります。テーブル席はテーブルが低めなので、車椅子から移って座るのもいいですね。
私たちは夕方からティーラウンジを利用(リンク先は当ブログ)して、そのままバータイムを楽しむことにしました。
窓際の席が空いたので移動させてもらって、せっかくなので車椅子からふかふかの椅子へ移ってみたくなりました。お店の方に聞いてみると、車椅子を置けるスペースがあるとのことだったので、お願いしました。
店の椅子に腰かけるのは久しぶりでしたけれども、いいですね。
低めのテーブルにちょうどいい感じで肘を置くことができて、身体を支えて座れました。いつもの車椅子の座面を感じず、さらに車椅子が視界に入らないことで、非日常感がぐんと増します。
窓は広く、ライトアップされた庭の木が幻想的に見えます。
私が頼んだのは、いちごのノンアルコールカクテル。
これがあなた、ノンアルコールなのにカクテル感にあふれているのです。
いちごの酸味をしっかりと感じるし、ふわりとした口当たりの奥から時間差で炭酸の刺激がやってくるのです。ジュースのようにごくごく飲むのではなく、少しずつ含んで楽しむ味でした。
いやはや、大満足でございました。
窓際の席からバーカウンターのある内部屋を見遣ると、こんな感じです。
とてもすてきな空間でした。
帰りは来る時にも乗ったタクシーを呼びました。奈良ホテル敷地内の坂道や周辺の歩道は、車椅子で通行するのには少し危険です。特に夜は、車で通行するのが安心だと思います。
参考:バー「ザ・バー」| 奈良ホテル | 公式サイト Nara Hotel Official Site
奈良ホテル | 公式サイト Nara Hotel Official Site
ホテルフジタ「オールドタイム」
三条通りにあるホテルフジタは、近鉄奈良駅やJR奈良駅から車椅子でも行きやすいですよ。
ホテル1階を進んで左手に、バー「オールドタイム」があります。19時オープン。
店内はゆったりしているので、車椅子でも移動しやすいと感じました。
こちらのバーはカウンターがテーブルと同じくらいの高さなので、椅子をどけて頂いて、車椅子のままでカウンター席につかせてもらいました。
いやはや、カウンター席ってバーの醍醐味じゃないですかね?
興奮しながらメニューのノンアルコールカクテルのページを見ていると、なかなか決めることができません。女性バーテンダーさんがどんな味が好みか尋ねてくださったので、「甘めのを」とお願いしてみました。
シャカシャカとシェイカーを振って、グラスに注がれた少しとろりとしたカクテルは、オレンジとピーチのノンアルコールカクテル。口に含むと、ピーチの甘さにオレンジのつぶつぶ果肉がほのかな酸味を加えます。うん、おいしい。
他のお客さんもいらしたのですが、バーテンダーさんと少しおしゃべりできました。奈良のホテルでバーがあるのは、ここと奈良ホテルだけとのことでした。
参考:バー オールドタイム | ホテルフジタ奈良【公式サイト】-ビジネスや観光の拠点に便利な奈良のホテル-
ホテルフジタ奈良【公式サイト】-ビジネスや観光の拠点に便利な奈良のホテル-
ホテルのバーは、友人曰く「一般的なバーよりも少しお高め」とのことでしたが、この雰囲気を味わえるならたまには贅沢してみてもいいかな、と思いました。
優雅なティータイムを、奈良ホテルで。
憧れの奈良ホテルへ、友人と一緒に行ってきました。
近鉄奈良駅からホテルまでは、このタクシーを利用しました。
奈良ホテルの周辺は歩道が狭く、歩行者とすれ違えない箇所もあります。また、ホテルの敷地内を建物へ向かう坂道は車通りが多いので、車に乗って移動した方が安全だと感じました。
車椅子でホテルに入るには、新館のスロープを利用します。
新館で多目的トイレを利用して、本館へ続く赤い絨毯の廊下を進みました。
今回の目的は、ティーラウンジ。奈良ホテルの重厚感あふれる雰囲気を、比較的お手頃に楽しめます。
ロビー「桜の間」を通り抜けると、ティーラウンジがあります。ドアを広く開けて頂いて店内に入りました。少しスロープ状になっているところがありますが、店内はバリアフリーです。
ティーラウンジの大きな窓からは荒池越しに若草山が望めます。
私たちが訪れた時は窓際の席が埋まっていたので、バーカウンターのある内部屋へ案内していただきました。
テーブル席はやや低めで、椅子に肘掛けもあるので、車椅子からいすに移るのもいいかもですね。私は車椅子のままで席に着きましたが、ちょっと低いかなという程度で、問題なく食事できました。
屋内の窓越しに、窓際の席を眺められます。
私たちが注文したのは、ミックスサンドウィッチとケーキ。友人はコーヒーを、私は特殊なポットで頂ける紅茶「ゴールデンダージリンアールグレイ」を頼みました。いずれもセットにできます(この紅茶は少しセット価格が高くなります)。
この少々変わった形のティーポットは、ドイツの老舗紅茶ブランド「ロンネフェルト社」製の「スリーピングポット」です。
倒した状態で蒸らします。
オイル時計で時間を計って、蒸らし終えたら起こします。
ポットの中には茶葉を入れる仕切りが。
ゴールデンダージリンアールグレイは穏やかな香りで、とてもすっきりとした味わいでした。時間をおいてカップに注いだ2杯目も渋みがなく、最後までおいしく頂けました。
そしてこの、ミックスサンドウィッチ。
野菜サンドのトマトは湯剥きしてあって、上品な口当たりです。特製ローストビーフは落ち着いた優しい味で、するりと食べてしまえます。
特筆すべきは厚みのあるハムサンド。めちゃくちゃがっつりとした旨さなのです。いやほんと、このハムサンドを食したあと、「今まで食べてきたハムサンドは何だったのか」って呆然となりますよ。
サンドウィッチの量は、友人と私の女性2人で頂いて充分なボリュームでした。おしゃべりしつつゆっくり味わいました。
ケーキはプレートに載せて運ばれてくる中から選びます。今回は「ラズベリーとマンゴーのケーキ」にしてみました。
スポンジに赤米が入っていて、程よい酸味と甘味に加えてプチプチとした食感が楽しめます。こちらもやさしい味わいでした。
ちょっぴり、いやかなり贅沢なティータイムでしたが、たまにはこういう時間もいいなと思いました。普段よりオシャレして、浮かれてみるのもいいですよね。
またぜひ訪れたいと思います。
このティーラウンジは、18時からバー「ザ・バー」になります。そちらもまた雰囲気が違ってすてきだったので、別の記事でご紹介します。
車椅子をそのまま積み込める、タクシー。
以前、奈良の吉野山へ行ったとき、車椅子のままで乗車できるタクシーを利用しました。
私の使用している「簡易型電動車椅子」は、
・重量が30kg程ある
・あまり折り畳めない
・大車輪に電動の駆動部分が搭載されていて繊細なので、横倒しは避けたい
という理由により、セダンタイプのタクシーのトランクに積み込むことができません。
吉野山では、車椅子に乗ったまま乗車できるタクシーに出会い、無事に山道を登ることができました。
さて、私が住む奈良市内でも、車椅子をそのまま積み込める大型の車両を運行しているタクシー会社があることを知りました。
「奈良中央交通」さんです。
初めてこの車両を知ったのは、バスでJR奈良駅を通りかかったときにロータリーで停車しているのを見かけたときでした。
特徴的な黄色い車体。東京だと見かけることが増えてきた「ユニバーサルタクシー」だ! 奈良にもあるんだ! と嬉しくなって、車体に書かれた会社名を憶えて帰りました。
奈良中央交通さんにお電話で問い合わせてみたところ、下記の返答をいただきました。
・大きな荷物を積み込める車両として1台運行中
・スロープや車椅子を固定する設備はないので、車椅子に乗ったままの乗車は不可
・座席に移って、車椅子を積み込むのは可能
・タクシー運賃のみで乗車できる
…全く問題ないです!
車椅子を立てたまま積み込んでもらえて、運賃のみで利用できるのはとてもありがたい!
そして後日。
このタクシーを利用して、奈良ホテルへ行ってきました。
30kgの車椅子を運転手さんひとりで積み降ろしするのは難しいので、誰かと一緒に乗るか、乗るときと降りるときに手伝ってもらえる環境があることが必要です。
奈良ホテルへは友人と一緒に行ったので、積み込むときは運転手さんと友人に載せてもらい、ホテルでは従業員さんが手伝ってくださいました。
また、フットレストを装着したままでも積み込めましたが、ちょっとギリギリだったので、載せる前に外しておいた方が安心だと思います。
奈良中央交通さんのこのタクシーのすばらしいところは、夜でも迎車可能なことです。
一般のタクシーなら普通のことかも知れませんが、私が東京旅行で夜間の移動にユニバーサルタクシーを利用したくて探していたとき、「夜は運行していません」と断られた会社が複数ありました。基本的に日中の利用客が多いとのことでした。
担当の運転手さんがお1人とのことで、勤務状態によって変わることもあるかも知れませんが、午前10時~翌午前2時まで受付可能とのこと。
うっかり終電を逃しても、大丈夫ってことですよ!
これってものすごい安心感です。だって簡易型電動車椅子になってからは、絶対に電車に乗らないと帰れなかったんですから。…いや、決して夜遊びを推奨している訳ではありません、安心感の問題ですよあくまでも。
車両が1台なので、迎車は早めの予約がおすすめです。
参考:株式会社奈良中央交通(iタウンページ)
日本最大級の、ふくろうカフェ。
以前から前を通っていて気になっていた「ふくろうカフェならまち」に行ってきました。近鉄奈良駅から徒歩5分、もちいどのセンター街にあります。
ここは、ふくろうカフェとしては日本最大級の屋内スペース(50坪)があり、カフェというよりはミニ動物園といった雰囲気です。
入口のドアは友人に開けてもらいましたが、段差なくフラットに入れます。
1時間1000円の入園料(本来は1300円だそうですが、ホームページによると「当分の間はオープン記念価格」でお安くなっています)に含まれるドリンク1本は、屋内の自動販売機で購入します。
入園料を支払い、スタッフさんに説明を聞いて、視線を転じると。
ずらり居並ぶふくろうたちが、私たちを迎えてくれました。
壁に飾られているのは、ふくろうのアート作品です。
ここにいるふくろうたちは全て人工孵化で、まだ若い子が多いとのこと。
ふれあいが大丈夫なふくろうは、ミトンをはめた手にとまらせてもらえます。
頭や背中にそっと触れると、種類によって羽根の感触ややわらかさが違うのだと解りました(さわれる子とそうでない子がいます。スタッフさんに聞いたり、説明書きをよく確認しましょう)。
奥の「フライトルーム」では、土日祝日に鷹(ハリスホーク)の嵐ちゃんのフライト体験ができます。私たちが訪れたのは土曜日の午前中だったので、体験させてもらいました。
鷹が車いすの車輪を嫌がるかも知れないと事前に聞いていたので、もし嫌がりそうならやめておくつもりでゆっくり部屋に入ると、スタッフさんの腕にとまり落ち着いた様子で迎えてくれました。
これなら大丈夫でしょう、とスタッフさんにお墨付きをいただき、鷹に背を向けてグローブをはめ、園長さん(店長ではなく園長なのです)に腕を支えてもらって肩の位置で伸ばします。
車椅子だと腕の位置が低いので、鷹にとってはとまりにくい様子でした。スタッフさんの腕から飛び立っても、私の腕には降りずに部屋の中を旋回します。
スタッフさんが私に60cmほどの距離まで近づくと、ふわりと飛び移ってくれました。
ずっしり重いのですね!
支えてもらっていなければ、私の力では耐えられなかったと思います。
園長さん、ありがとうございました。
革のグローブを掴む爪は鋭いですが、私の方を見る瞳がくりくりしていて、なんてかわいいんだろうかと思いました。
雛から育てたスタッフさんにとても懐いていて、園長さん曰く「私もさわれないんですよ、さわれるのは彼だけなんです」とのこと。スタッフさんの腕に戻りその顔を見つめる嵐ちゃんはとても愛らしかったです。
平日のフライトルームでは、ワシミミズクの放飼いが公開されることも。いずれも鳥たちの体調により中止することがあります。詳細はホームページやブログでご確認ください。
ふくろうカフェならまち|餅飯殿町 癒し 奈良町 フライト体験 鷹(公式ホームページ)
ブログ|ふくろうカフェならまち(公式ブログ)
YouTubeでは、水浴びするふくろうや飛翔するふくろう・鷹の映像が見られます。